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調べた結果、1波長に対して長さ方向に10分割し、正方形の双一次の境界要素を用いるとほぼ収束している事がわかった。以降の計算では、1波長に対して10分割した正方形境界要素を用いることにする。

Table 1 Dimensions of a floating structure

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Fig.2にdiffractionポテンシャルの計算結果の一例を示す。(ある瞬間のφi,φd,+φiおよびφi,+φdの振幅の大きさの分布が示されている。)(23)式からわかるようにdiffraction問題で解かれた、φi+φdがradiation問題における入力量となる。この絶対値が大きい所に大きな圧力が加わることになる。Fig.2などの計算結果よりこの分布形状の特徴は次の通りである。
・入射側において大きく透過(波下)側で小さくなる。
・幅方向の分布に関しては端部付近で大きくなる。
・波の波長が浮体に対して短くなるほど上記の傾向は強くなり、入射側の端部に圧力が集中する。
Fig.3はL/λの違いによるφi+φdの振幅の分布を比較したものである。縦軸は入射ポテンシャルの大きさで無次元化してある。
・相対波長が小さくなり(この場合L/λ>2)波長と浮体の幅の大きさが近くなると中心線上の中央部ではほとんどゼロになることがわかる。但し、側部の中央付近ではでは小さいけれどゼロにはなっていない。
・ポテンシャルが長さ方向に変化するのは入射側からおよそ1波長分の領域でありそれ以外では波下側端部の小さな領域を除いてほぼ長さ方向に一様であると見なすことができそうである。
・入射側の大きさは波長の大きさにかかわらず、入射ポテンシャルに近い値となっている。

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Fig.2 Distribution of incident and diffraction potential

(k=0.01005, L/λ=4.0, h=∞)
水深の影響
水深を変化させて上記の分布を計算したところGreen関数の特性から予想されたように、水深が小さいほど大きさは大きくなるが、水深が波長の半分以上では無限水深とほぼ同じ大きさになることがわかった。
3.3 dry modeと wet modeの比較
本数値解析においては、柔軟弾性浮体の波浪応答解析にモード解析法を用いずに物理座標を用いて解いているwet modeあるいはdry modeを使用するモード解析を応答解析している研究が多い。
本報告では、応答を検討するための材料としてdry modeとwet modeのモーダルパラメータを求めて比較を行った。固有振動数をFig.4に示す。付加水質量の影響によりいずれのモードも大きく固有振動数が減少している。モードによって付加水質量効果が異なるために固有振動数の大きさの順序が異なっている。また、計算結果によればdry mode とwet modeは形状にかなりの違いがあることが確認された。
2次元解とと3次元解の比較
中井ら[6]によって求められた2次元問題のwet modeの固有振動数と本計算で求めた3次元問題の形との比較したところ、3次元問題に比べて、2次元問題は流体の運

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Fig.3 Effect of relative wave length on diffraction potential

 

 

 

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